赤カナリア

参考書は、以下:

THE RED CANARY (2003)
和訳本:赤いカナリアの探究(2006, 新思索社)

を学習した。
吾輩なりの解釈を書いてみる。

1-
カナリアの飼育の歴史において、色カナリアとくに赤カナリアの育種は、
永年の目標だった。

2-
飼鳥の歴史の古い英国では、
野生鳥と飼い鳥とのhybrid, あるいはmule は、新種作出の鍵とされ、
かなり盛んに行われていた。

3-1860年代から::
中南米産の、レッドシスキン(和名:ショウジョウヒワ)の赤い色素(真紅色)を
カナリアに移そうと言う試みは、結構行われた。
すなわち、ショウジョウヒワx飼育(野生色ではなく、白とか、薄い黄色とか)カナリアメス
を交配して少し赤みのある(真っ赤ではなく・・・赤銅色だが)個体は得られていた。
しかし、ハイブリッドは不稔で次世代に繋ぐのは極めて稀だった。

4-
その頃、3-の試みで、かなり橙色・オレンジ色のカナリアは、作出されていた。

5-1873年英国の飼育鳥ショーにて、驚きの「赤」カナリア。
その人は、
赤唐辛子を餌に入れると、「赤く」なることが発見・知っていた。

6-

でも、まだまだ、赤くない。そして、何より「人工的」なことを嫌っていたのだ・・・。

3-の試みは、それでもずっと続いた。
そのような試みの末、「遺伝子」による「赤化」は、無理だろうとなりつつあった。
その中で、気づいたことがあった。
野生ショウジョウヒワは、野生個体は赤いが、
飼育して換羽を繰り返すうちに赤みが消失することに気づいた。

7-時はすぎ、1930年になっていた。
人の医学でカロチン色素と皮膚の色の関連は知られつつあった。
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ここでようやく5-の知見が思い出された。
赤カナリアを「真の赤」にするには「遺伝子」+「餌」の両方が必要だと。

ショウジョウヒワxカナリア子孫由来の「黄色・オレンジの程度がまだまだ薄い」子孫の換羽期の餌に、当時ドイツのロシュが発売していた商品名「カロフィル(レッド)」が使われた。

これで、劇的な進歩があった。
やっと、「赤い」赤カナリアと呼べる個体の出現だ。

8-
ロシュの商品名、「カロフィル(レッド)」は、化合物としてはカンタキサンチンだ。
現在でも、カンタキサンチン製剤を餌に加えることで、
「赤カナリア」の遺伝子組成を持った(羽の色としては薄い黄色かベージュ程度の)個体が真の赤カナリアに換わる。

10-結論::

と言うことで、
カロチノイド色素を取り込んで、「赤くする」遺伝子を持った個体が赤カナリアだ。

と言うことは、
カロチノイド色素は、元来種子植物・藻類で合成され、
動物はそれを取り込んで蓄積・発色する。

最適な遺伝子組成+その種に最適なカロチノイド色素を見つける、ことが、
red-生き物繁殖の鍵となると言うことを学んだ。

と同時に以下のことも学んだ:::

red, rubrus

「赤はもっとも人を惹きつける力を持った色で、絵の色及その存在の本質として、最も強い視覚的エネルギーを投影する。」

このセンテンスは、ユング・シュピラーが1962年に、絵画「夜の花」(1933年、パウル・クレー)に関する記述、
と言う。

出典は上記:THE RED CANARY (2003)和訳本:赤いカナリアの探究(2006, 新思索社)


の第8章の冒頭に書かれていた。

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はたと思い当たった。

いくつかの飼育生物で、

「赤い個体」の追求は、とても多くの人を引き付けてやまないことを・・・・。

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